今年度のヒメボタル発生状況の報告
猪名川や藻川の河川敷には、重要種のヒメボタルが生息しています。佐藤レンジャーはヒメボタルの保全活動に取り組んでおり、今年度のヒメボタルの発生状況をまとめましたので紹介します。
【調査した場所】 桑津橋-軍行橋間 猪名川左岸側河川敷(伊丹市)
【ヒメボタルの発生状況】
2021年5月14日に調査をはじめ、最初のヒメボタルの飛翔を確認しました。
発生のピークは5月23日で、20時~22時頃に100頭以上のヒメボタルが見られました。河川敷の近くに住む方の情報によれば、堤防からもたくさんの発光が見られたそうです。
確認された場所は地図のとおりです。佐藤レンジャーがオギ原やチガヤ群落の保全活動を行っている場所で多く発光が確認されたほか、クズが広がっている場所でも数個体が確認されました。
ヒメボタル確認場所 ※国土地理院の空中写真をベースに作成
確認されたヒメボタル(オス)
ヒメボタルが多く確認された場所
ヒメボタルの飛ぶ猪名川を守るために
ヒメボタルの生育には、木や草の下で適度に湿った土壌、幼虫の餌の陸貝、成虫の発生時期には人工の光が少ない環境が必要ですが、こうした条件の整った場所は都市開発で急速に失われてしまいました。更に、ヒメボタルは移動性が低いため、一度絶滅した地域に復活することは難しいと言われています。こうした要因により、現在、ヒメボタルは大阪府と兵庫県のレッドリストに掲載されるほど数が減っています。
このような中でも猪名川にたくさんのヒメボタルが生息しているのは、猪名川に豊かな自然環境が残されているからです。この自然環境を守っていくために、私たちにできることは何でしょうか? 例えば、川にゴミを捨てないこと、河川敷の外来植物を駆除して減らすこと、猪名川の水を汚さないことなど、たくさんあります。できることに一緒に取り組んで、みんなで豊かな猪名川の自然を守っていきましょう。
また、猪名川でヒメボタルの発光が見られる場所は、市街地に近く、河川敷道路も整備されていますので、気軽に見に行くことができます。来年の5月中旬~6月初旬にはぜひ観察に行って、豊かな猪名川の自然を体感してください。
なお、観察するときには、ヒメボタルが生息する場所には入らずに歩道から見るようにしてくださいね。
《参考》ヒメボタルってどんな虫?
(大阪府レッドリスト「準絶滅危惧種」、兵庫県版レッドデータブック「要注目種」に指定)
- より詳しく知りたい方には、国崎クリーンセンターが発行しているパンフレットが参考になります。
(国崎クリーンセンターは、敷地内の里山でヒメボタルの保全活動に取り組んでいます)